| Q.39 外来種が生物多様性に影響を与えていることが知られていますが、遺伝子組換え生物も生物多様性に影響を与えるのですか。 | |
| 質問分類 | 12.遺伝子組換え生物と生物多様性との関係 |
| 質問 | Q.39 外来種が生物多様性に影響を与えていることが知られていますが、遺伝子組換え生物も生物多様性に影響を与えるのですか。 |
| 回答 | ○外来種問題 近代化にともなって、人と物資の移動が盛んになり、多様な生物が人為的に利用され多くの野生生物が本来の生息地の外から持ち込まれ、そのうちの一部の種が野生化し、定着しました。その結果、在来の生物を駆逐したりするなど、生態系や人間活動に無視できない影響を与えるケースが増えています。 例えば、植物では、北アメリカ原産のセイタカアワダチソウが日本に持ち込まれ、第二次世界大戦後、急激に分布を拡大し、今では全国の大都市近郊の空き地や河原で見られるようになっています。また、ブラックバスによる在来魚種の食害で湖沼の生態系が破壊される例が増加しています。地中海ミバエのように農作物に多大な被害をもたらす外来種もいます。 外来種の生物多様性への影響は、在来の生物を食べたり、在来の生物との競争によって在来種を駆逐するだけでなく、近縁種と交雑することによる遺伝的なかく乱、寄生虫・感染症の持ち込みといった影響もあります。身近な植物の代表であるタンポポもセイヨウタンポポが国外から侵入し、現在では多くの都市部で在来のタンポポをしのいでいます。また、在来のタンポポとの間に雑種をつくっていることも分かっています。 動物では、動物園や観光施設から逃げ出したタイワンザルがニホンザルと交雑して遺伝的なかく乱を引き起こしています。ペットとして輸入されている外国産クワガタが在来のクワガタと雑種をつくった例も知られています。 外来の生物が持ち込まれることによる生物多様性への影響は世界的に無視できない問題となり、地球規模での対策が進められています。日本では、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)」が平成16年6月に公布され、平成17年からの施行に向けて、特定外来生物の選定等が進められています。 貨物船が空荷で航行する際、船体を安定させるために積み込む海水のことをバラスト水といいますが、バラスト水は到着した港で荷を積む際に捨てられ、中に含まれていたプランクトン等が本来の生息地でない環境中に拡散し、到着港の海洋生態系へ悪影響を与えた例が知られています。バラスト水についても、現在、生態系への悪影響を防止するために国際条約(通称バラスト水条約)が採択され、規制が進んでいます。 ○遺伝子組換え生物の生物多様性への影響 外来種も遺伝子組換え生物も、いままでその環境に生息していなかった外来の生物が新しく導入される点で共通しており、どちらも生物多様性条約のもとで生態系への悪影響を防止することが必要と考えられています。 しかし、外来種による生態系への影響は様々な生物で実際に確認されているのに対して、遺伝子組換え生物によって有意な環境への影響が生じた例は知られていません。 これまでに開放系利用が行われている遺伝子組換え生物は、トウモロコシ、ナタネ、ダイズなどの農作物が中心ですが、これらの農作物は長年にわたって品種改良が行われ、完全に人間に依存して生育しています。長年にわたって栽培されてきたこれらの農作物が広範囲の雑草となることは考えにくく、新品種と在来品種との交雑についても、隔離などの栽培管理が行われてきました。 一般的に、遺伝子組換え生物の性質は遺伝子が導入される前の親生物の性質から大きく変わることはないため、遺伝子組換え作物も従来の品種と同様の栽培方法によって管理できると考えられます。環境リスクの評価にあたっても、外来生物よりも結果の予測が容易なものがあると考えられます。もちろん、雑草性の強い植物に遺伝子を導入する場合や取り扱い経験の少ない生物に遺伝子を導入する場合は、慎重に生態系に及ぼす影響の評価と管理を行うことが必要なことは言うまでもありません。 |