Category  ||   Tool  |   How-to  |   Review  ||   Keyword
系統樹を作成する
Title 系統樹を作成する
Caption マルチプルアライメントに基づいて系統樹を作成する際の注意事項を述べます。
Detail 『系統樹を作成する』
進化的に共通祖先を持つ配列が複数得られれば、それらのマルチプルアライメントを作成し、その結果を用いて系統樹を作成することができます。

【マルチプルアライメントの精度と系統樹】
系統樹は進化の過程を推定した結果にすぎません。それゆえ、よい結果を得るには、その推定に用いられるデータを精査する必要があります。仮りに、共通祖先に由来する複数の配列が得られたとしても、それらをうまくマルチプルアライメントすることができなければ、そのマルチプルアライメント結果を用いた系統樹推定結果は間違ってしまうかもしれません。マルチプルアライメントの入力データの中に他とあまり似ていない配列が入っていると、うまくマルチプルアライメントが生成されない場合があります。マルチプルアライメントにたくさんのギャップが入っている場合には、入力データからその原因となる配列を除いた方がよいかもしれません。

【マルチドメインタンパク質のマルチプルアライメント】
複数のドメインから構成されるタンパク質(以下、マルチドメインタンパク質)同士をアライメントする際には、少し工夫するとよいアライメント結果を得られる可能性があります。マルチドメインタンパク質では、そのアミノ酸配列におけるドメインの並び順が保存されていない場合が多々あります。マルチプルアライメントの生成によく使用されるClustalW等はグローバルアライメントを行います。上述のような場合、それらをそのままClustalW等にかけてしまうと、配列の全長を無理矢理アライメントしてしまい、おかしなアライメントが生成されてしまいます。そこで、ドメインを切り出し、ドメイン毎にマルチプルアライメントを生成します。ドメインを特定するには、まず、BLAST等のローカルアライメントツールを用いてペアワイズアライメントを生成します。この結果においてうまくアライメントされている領域を切り出して、配列パターンが似通っているもの同士を集めてそれらでマルチプルアライメントを生成します。この結果を用いれば、そのドメインに関する進化系統樹推定に用いることが可能でしょう。

【WWWサイトの利用】
ClastalWはインターネットを通じて利用可能です。以下に、そのサイトを利用して、系統樹を作成する手順について説明します。
  1. ClastalのWEBサイトにアクセスします。入力データとなる配列群をペーストするかアップロードの設定を行います。マルチプルアライメントに使用されるパラメータを設定することが可能ですので必要であれば設定してください。このWEBサイトは系統樹の作成も行ってくれます。NJ法かUPGMA法を用いることができますので、どちらか選んでください。以上が設定できましたら、サブミットボタンをクリックしてください。
  2. 結果画面には、マルチプルアライメントのスコア、ペアワイズアライメントのスコア、マルチプルアライメント、そして系統樹が表示されます。
  3. そのなかでもやはりマルチプルアライメントの結果そのものを注意して見る必要があります。あまりにも保存度が低かったり、ギャップが多かったり、大きなギャップが入っているようでしたら、入力データを再検討する必要があるかもしれません。上述したように、入力データを再整備して、再度、マルチプルアライメント・系統樹作成を行ってください。


使用できるツール:
マルチプルアライメント ClustalWT-Coffee
系統樹推定 PHYLIP
/進化解析/マルチプルアライメント/も参照