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PCRプライマーを設計する
Title PCRプライマーを設計する
Caption 実験対象となる生物種のゲノム配列で一ヶ所だけが増幅されるプライマー、つまりユニークなプライマーを設計する方法を説明します。
Detail 『PCRプライマーを設計する』
実験対象となる生物種のゲノム配列において一ヶ所だけが増幅されるプライマー、つまりユニークなプライマーを設計する方法を説明します。

【適切なプライマー】
PCRを用いれば、ゲノム配列上の特定領域を増幅することが可能です。ただ、適切なプライマーを用いなければ、狙った領域(以下、ターゲット領域)以外も増幅されてしまい、結局得られる増幅産物には様々な配列パターンが混在していることになります。


【ユニークであることの保証】
増幅したい領域のゲノム配列が得られれば、Primer3等のプライマー設計ツールを用いて、プライマー配列を求めることができます。ただ、このプライマー配列はターゲット領域だけを増幅するものであると保証されているわけではありません。そこで、Primer3等で得られたプライマー配列が、ゲノム配列上で一ヶ所にしか張りつかないことを確認します。この確認にはe-PCR等のプライマーマッピングツールを用います。


【WWWサイトの利用】
Primer3とe-PCRはインターネットを通じて利用可能です。以下に、それらのWWWサイトを利用してユニークなプライマーを設計する手順を説明します。
  1. Primer3の入力となるDNA配列を用意します。ターゲット領域だけでなく、その前後も含めてゲノム配列から切り出します。この余分な部分の長さは任意です(Primer3の計算に影響しそうですが、計算結果はPrimer3の条件設定次第ですので特に問題はありません)。ここでは、対象生物種はヒトで、ターゲット領域の長さを100塩基とし、その前後に200塩基ずつ余分な領域を持たせることとします。
  2. Primer3のWEBサイトにアクセスし、切り出したDNA配列と、その配列におけるターゲット領域の位置を入力します。今回の場合、201塩基目から100塩基分がターゲット領域ですので、"Targets"の入力欄に"201,100"と入力します。この他に、プライマー間の距離(プロダクトサイズ)プライマーのGC含量、Tm値といった様々な条件を設定することができます。以上が設定できたらサブミットします。
  3. Primer3が求めたプライマー配列・プロダクトサイズをコピーします。
  4. e-PCRのWEBサイトにアクセスします。"Forward e-PCR"と"Reverse e-PCR"がありますので、後者を選択します。そして、Primer3によって得られたプライマー配列・プロダクトサイズをペーストし、マッピング対象の生物種を選択します(今回の場合はヒトを選びます)。以上が設定できたらサブミットします。
  5. e-PCRのマッピング結果を確認します。今回の場合、ヒトゲノム上の3箇所にマッピングされたので、このプライマー配列は適切であるとは言えません。e-PCRは一度にたくさんのプライマー配列をマッピングすることができますので、その中から一ヶ所にだけマッピングされるものを探すとよいでしょう。


使用できるツール:
プライマー設計 Primer3
プライマーマッピング e-PCRBLAT
/配列決定・PCR等実験の支援/プライマー設計/も参照